実は、カナダのトロントに数年間、留学していたことがありまして。
その時によく通っていたのがEvergreen brick worksというところ。
ダウンタウンにほど近く、地下鉄で5分+バスで5分、もともと古い煉瓦工場だったところを再開発して、市や大学と提携して現代社会と自然の融合や人間らしく暮らしやすい社会を模索する、今で言うSDGs:Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の施設でした。
同施設の紹介ページにも写真がありますが、ビルの立ち並ぶ都会をバックにぽっかりと空いた緑いっぱいの大きな渓谷、その中にきれいな建物が点在して、子供向けのワークショップや、オーガニック中心のマフィン・ピザ・クレープの販売、ファーマーズマーケット、カフェや植木・花の販売などあり、楽しく居心地の良いところが気に入って本当に何度も通い、一度そこが懐かしすぎて夏休みに飛行機で行ったこともあるくらい。
日本にもこんな場所あるといいのに、と思う一方で、ボランティアやドネーションの文化がないと厳しいのか、とも思い、なかば諦めていました。
そんな場所、ありました。それもこんな近くに。
木更津のクルックフィールズさんです。
<スタッフの方に撮影・掲載ご許可いただきました>
アクセス
車以外の行き方については公式HP-Accessをご覧いただければ。
車での行き方:
京葉高速道路を館山方面に進み、木更津北ICで降ります。
突き当りを右。
そこからはひたすら「かずさアカデミアパーク」の表示がある方向に進みます。
道なりまっすぐ10分ほど走り、左前にファミリーマートがある交差点まで来たらあと少し。
先の写真から1分ほどでこんな感じに右折できる場所があります。入口近くに「(矢印)クルックフィールズ」との看板がありますが、小さいので見逃し注意。
道なりに入っていくと、駐車場とエントランスが見えてきます。
料金
入場料 無料
駐車料金 無料
BBQ、バーガー、パン、ドリンクなどは各々購入必要。ただし夏期各建物にてハーブウォーターの無料提供ありました。
体験レポート
エントランスでディ○ニーランドのように本日のイベントとフード、MAPが描かれたものをもらえます。親切。
看板でも教えてくれる。親切。
ちなみに一部のイベントはホームページから事前予約が可能です。
周囲を見渡すと全体が巨大な渓谷?盆地?になっていて、こんなところもEvergreenに似ていて嬉しくなります。きれいな建物が広大な自然の中のそこここに点在。
初めてなので、ツアーに参加して色々案内してもらいました(大人1000円、子供500円でアートの特別鑑賞権つき)。
まずは水玉模様のアートで有名な草間彌生さんの作品を観覧。ツアーに参加した人だけが中に入れます。
外から見ると鏡の箱にしか見えませんが、
一歩中に入ると、外の小さな窓から入る太陽光がさまざまな色を纏って鏡の部屋の中で反射し、
このような幻想的な光景を生み出します。人工の光は一切なく、太陽の光がないと完成しないものであり、外の鏡張りが周囲の緑を反射して自然に溶け込むことも相まって、自然の中での太陽の恵みのありがたみが感じられる作品とのこと。
アート作品から坂を上がるとジャズが流れているようなカフェと、宿泊できるタイニーハウス。
そこから正面に向かって道を戻るとお肉屋さん、シャルキュトリーがあり、イノシシ肉のメニューがいただけるとのこと。
なぜイノシシかというと、この周辺では以前からイノシシが畑を荒らす害獣として退治・捕獲されており、ハイシーズンでは月に200〜300頭くらい穫れるのだそうですが、そのうち猟師さんたちが自分で一部消費する分以外は燃やされたりしていたそうで。それをなんとか利用したいと、ご自分も狩猟免許を持つシェフが捕獲から血抜き・精肉処理、料理に至るまで熱い情熱をもって監修し、ジビエとしてのメニューを提供しているとのこと。
正面に戻って、ベーカリーとレストラン。
素敵な外観かつ美味しい料理だけでなく、ここで出た野菜くずなどは、ミミズと落ち葉と一緒にコンポストを作って無駄なく利用しているのだそうです。
谷を下って同じく草間さんの作品が。
自然の中で湧き上がる命の躍動でしょうか。違っていたらすみません。
少し進むと最近までじゃがいもが植わっていた畑。これから枝豆を植えるとのこと。
ちなみにここで収穫された有機野菜たちは東京に「耕す」というブランド名で出荷されているそうで、そういった意味でテーマ性だけでなく地に足を着けたビジネスモデルを確立していると理解しました。
途中シフォンケーキの形をしたシフォンケーキのお店が丘の上に見えたり。
敷地の奥にはヤギ・羊と牛・水牛の小屋があったり。
食べられるハーブしか植わっていない畑があったり。
そこここに太陽光発電のパネルがあります。
この施設全体として、晴れている日は消費電力の100%を、年間電力消費量としても約80%を太陽光発電で賄うことができるとのこと。上水道は井戸水の組み上げ・濾過、下水も自前の濾過で賄っており、食べ物も豊富にあることから、災害時には公のインフラから切り離されてもある程度は生き延びられるとして、木更津市と災害時の協力協定を結んでいるとのことでした。夢のオフグリッド。
最後にピザ焼き教室をやっている建物もみてツアーは終了でした。
2枚めは建物の中からの撮影。無料のハーブウォーターがここにも用意されていてありがたい。
スタッフさんの話の中で、随所に設置されている水の浄化についての話が心に響きました。
その方曰く、こういったサステナビリティを考える時に、つい人間を悪者にして活動を制限する方向に話が向かっていきがちだけれども、そうではなく。例えば、ここにある浄水システムは、人間が生活する上で排出された排水を、瓦チップに活着した微生物や土、クレソン、柳の木などで浄化するわけなのですが、このシステムは、もし人間が生活を止めてしまったら、微生物も植物も栄養がなくなってしまい生きていけなくなる。このように、人間が生活することを自然の中の一部分として大事にし共に発展できる方法を我々は探りたいのです、と。
ガツンと来ました。それも、ただの夢や理想論ではなく、10年分の実践の重み。
多分あと何回か通わないと本当の意味を理解することができないのかもしれませんが、実践可能な持続可能な社会という大看板。
ピカピカの看板ですよね。ここで働いていらっしゃるスタッフさんが、胸を張っていい笑顔でいる理由が分かった気がします。
さてさて、新しい知識が入って頭がいっぱいになったらお腹が減ってきたのでお昼ごはんです。
まずはイノシシ。さっきの話を聞いたら食べずにはいられませんよね。
バーガーを2種類ともいただきましたが、イノシシ肉についても全く臭みなく、歯応えは少しだけ固めですが、お肉を食べている食感を楽しめましたし、ハーブの使い方が絶妙で、それぞれ味の特徴が立っていて美味しかったです。
イノシシ肉のカレー。
カレーは懐広いこともありイノシシもまるっと包まれ問題なくむしろ違いがよくわからないまま美味しいキーマカレーとしてスイスイ食べることができました。カレーにしてもウインナーにしても、野菜が美味しいんですよねぇ。収穫したばかりというポテトのグリルがとてつもなくうまい。
3種類のウインナーも全く臭みなく、どれも塩加減・香りともに大当たり!!というか、あまりの美味しさにジビエとしての臭みを気にするどころか、むしろ他店の豚肉のウインナーよりもここのイノシシウインナーを食べたい。千葉そごう地下にお店を出してくれたら3日に1回買いに行きます。いや、やっぱり食べたくなったらここに遊びに来るからその方がいいのか(混乱
ピザは敷地内で育てている水牛のチーズで作ったマルゲリータとか、海苔とレモンと新玉葱のピザとか。
丁寧に作られ焼き上げられたことがわかるピザでした。
お腹が膨れて、大きなタープの下で少しお昼寝。
そのうち子どもたちが遊びたくてたまらなくなります。
子供の遊び場としては、まずは木製ジャングルジム+ボルダリングなどが楽しめる坂+滑り台。
登って降りて、登って降りて、こどもたちの永久機関。ある意味サステナブル?
ほかにも、シーソーやら平均台やらがあったり。
何より広大な芝生広場があるので、遊び放題。
大人も子供も大満足。
ツアーの時にスタッフさんがこっそり教えてくれた情報。
シフォンケーキの館の隣に建設予定の宿泊施設、泊まる人はインストラクターさんに色々と教えてもらいながら、昼間にワークショップでなにか作ったり遊んだり、夜は畑から好きな野菜を探し収穫、適宜レクチャーを受けながら自分で作った料理を食べて、自然を感じながら眠るというコンセプトになるらしい。インストラクターさんの知識とトークが間違いないのは今回ツアーに参加してわかりましたからね。今から待ち遠しい!!絶対行きます。
ひとつの実現可能な持続可能性の形がここにありました。
勉強になったし、楽しかったし、美味しかったです。
相手していただいたスタッフの皆様、ありがとうございました。
概要
名称: KURKKU FIELDS/クルックフィールズ
住所: 千葉県木更津市矢那2503
営業時間: 10:00-17:00
定休日: 火曜日・水曜日
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